大学教員は「レッスンプロ」だと思う
1)大学教員は余暇に研究をする
「あなたにとって研究とは何ですか?」と尋ねられたら、「趣味です」と答える。好きでやっていることだけど、それで経済効果が生まれるような研究テーマではないし、それで良いと思っている。
将来のキャリアの選択肢にはもちろん大学教員が入っている。この大学教員という職業は、実際のところ「研究」が仕事なのではない。大学生・大学院生に「教育」することで給金を得ている。
大学教員も教育と雑用で食いながら余暇に学問をやっている。
— PsycheRadio(水漏れ小康) (@marxindo) 2018年2月22日
大学教員にとっても、研究は「趣味」なのだ。だから、会社員と何も変わらない。仕事をしつつ余暇に研究するという生き方をしている。
2)近代の学問は仕事をしながらやるもの
そもそも、古代ギリシャ時代から、学問は余暇にやるものと相場が決まっている。ただ、近代以前は奴隷領主や王侯貴族、聖職者のように「余暇に専念する人」がいた。彼らが学問をやっていた。
けれど、近代になってそういう身分制が崩れると、余暇に専念する人はいなくなった。みんな仕事をするし、余暇もする。研究をする人も、一労働者になった。今はそういう世の中なのである。
3)大学教員は「レッスンプロ」だ
その中で大学教員の特徴は、仕事と趣味がかなり近い点にある。研究によって得られた知識やスキルを学生に教えるというのは、要するに趣味の一部が仕事になっているということだ。
こういう働き方はそれほど珍しいものではない。スポーツやアートの世界の「レッスンプロ」の生き方は、まさに大学教員と同じだ。
例えばゴルフのレッスンプロは、トーナメントに出場するプロゴルファーでもある。しかし、なかなかトーナメントで入賞することは難しく、賞金で生計を立てるのは困難である。そこで彼らは、アマチュアゴルファーのレッスンをつけることで、報酬を得ている。教育を仕事にして、ゴルフをやっているのだ。
2017年8月20日放送「プロなのに...全然賞金が稼げない0円パパ」
レッスンプロの良いところは、先生を務めるゴルフ場の設備を利用し、自分のゴルフの練習もできる点にある。ゴルフと全く関係ない仕事よりも、「趣味」としてのゴルフを続けやすい職場なのである。
大学も、研究室があり、同じように研究をしている同僚がたくさんいる点で、研究という趣味をするには良い職場である。なので、趣味として研究をするために大学教員になるのは、「アリ」な選択肢だろう。でもそれは、アマチュアオーケストラを続けるために土日の融通がきく公務員になることと変わりはない。
逆に、修士号や博士号をもって会社で働いている人もたくさんいる。その人たちが「研究を続けたい」と思ったとき、どんな生き方ができるか。「趣味として研究をする」という点では、大学教員も会社員も変わらないのだから、同じ土俵に立って議論していきたいと思う。