アマチュア通信

人々の趣味や遊びとそれを捉える視点

#遊びの哲学 に参加して――遊びのなかの自由と自律

木村洋平さんが主宰する哲学カフェが「遊び」をテーマにしていたので参加した.

idea-writer.blogspot.jp

木村さんによる「遊び」概念の博物誌をうかがって面白かったのが,遊びには

  • 自由――日常のルールからの脱出
  • 自律――別世界のルールの構築

の両面があるということだ.「自由」の側面は勉強や仕事といった日頃のしがらみから離れられるということで,レクリエーションやリトリートのイメージに近い.そういう意味で「趣味」を捉えている人もいるかもしれない.

www.dkbodybalancingjp.com

その一方で,「遊び」はただ解放されることだけでなく,芸術やゲームのような「自律」性をもった別世界に参入していくことも意味する.その意味では,遊びは「専門的」な活動であり,ぼくが「趣味」としてイメージするのはこちらである.レクリエーションといった言葉がある以上,あえて「趣味」と言うことの意味は「自律」を強調する点にあると考えている.

今回の哲学カフェでは言及されなかったけれど,中井正一の「脱出と回帰」は,まさに遊びがもつ「自由」と「自律」の両面について言及している.そのうえで,生活からの遊離(自由)としての娯楽だけでなく,その芸を追求していった先にある宇宙の秩序(自律)をめぐる苦闘に光を当てている.

青空文庫中井正一 脱出と回帰

対話では,合理性や功利性などの近代的な価値観からの脱出――「自由」――としての「遊び」の価値にスポットが当たった.その一方で,「趣味」を研究するうえでは,「自律」がもつ価値についてもっと考えていきたいという感想をもった.人生100年時代や人工知能の発展といった文脈で「遊び」や「趣味」が取りざたされるときには,コモディティになるのではなくその人独自の意味や価値を生み出していく営みとして,「自由」よりも「自律」が問題になっていると思うからだ.

考える材料をいただけて大変面白い回でした.ありがとうございました.