アマチュア通信

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ばるぼら, さやわか (2017) 僕たちのインターネット史

 

僕たちのインターネット史

僕たちのインターネット史

 


日本でインターネットがどのようなものとして語られてきたのかを、前史として80年代のパソコン通信から現在まで辿った本。90年代や00年代は、カリフォルニア・イデオロギー的なサイバースペース論や、レッシグアーキテクチャ論みたいに「インターネットをどうするのか」という議論があったけど、今はそれがない。炎上やネトウヨの議論はあっても、インターネット・カルチャーに取り組む言説がなくなった、という認識が共有されている。コードも書けて、文化や倫理についても語れる山形浩生フォロワーみたいな人がいないと。
日本ではたしかにそんな感じがするけれど、海外のソフトウェア・スタディーズとかデジタル・ファンダムの研究は、まさにコードの観点をもちつつ現代のインターネット・カルチャーについて考察していると思う。情報学環が果たすべき役割はこういう議論を日本に根付かせることなんじゃないか。