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エンゲストローム(1987)拡張による学習――活動理論からのアプローチ

読むまでは本の性格がよく分かっていなかったが,読んでみてあくまで介入のためのマニフェストなんだなと納得した.活動システムの図が有名な割に,学説史的にどういう意義があるのかほぼ分からない本である.ただ翻訳においては原著から――「全体を読み通すのに容易であるようにと考えて」――割愛された部分があるので,そこに記述があるのかもしれない.あるいは,レオンチェフを読んだほうがいいのかもしれない.

「拡張的な発達研究」においても「活動システムの分析」のステップは存在しているが,その分析をどれだけ豊かにできるのかという方向性での研究は進んでいるのだろうか.本書では「対象と道具に注目しよう」程度のことしか言っていない.一方で,「活動システムの分析」自体は,エスノメソドロジーSTSといった分野がそれを究極的な目的にして研究しているぐらいなのだから,そう簡単に分析をやり遂げられるようなものでもないと思う.

「文化歴史的活動理論(Cultural Historical Activity Theory: CHAT)の文脈に位置づけられた研究において活動システムの分析がいかにやり遂げられているのか」という問いは先行研究を読むときに意識しておきたい.介入先行で分析が手薄な研究というのは学術的新規性が全くわからないものになりがちだから.

 

拡張による学習―活動理論からのアプローチ

拡張による学習―活動理論からのアプローチ