How to Become an Amateur

大人の趣味とそれを支える環境について

松浦 (2008 [2003]) くちぶえサンドイッチ

 たまにカリフォルニアかぶれになりたい気持ちになる,この感情,みなさんにも伝わると思うのですがどうでしょうか.ゆっくりと流れる時間,街中の散歩,コーヒーと読書,風と陽光に包まれて.そういうのに浸りたい気分.
 読書でそれを満たしたいけど,センスの良い本じゃないとキザすぎて露悪的になるので選書が難しい.なので信頼できる読書人に聞くのが良いだろうと思って,見繕ってもらったのが本書.
 一読して文体のうまさ軽やかさに敬服しました.村上春樹が「戦争とか革命とか飢えとか,そういう重い問題を扱わない(扱えない)となると,必然的により軽いマテリアルを使うことになりますし,そのためには軽量ではあっても俊敏で機動力のあるヴィークルがどうしても必要になります」と書いていたけど,それを満たすようなことばの乗り物=文体.「生活」や「日常」を書くのに,悲劇や喜劇の文体は大げさすぎるわけで.

「とりたてて何も用事はなにのに,早起きしてしまったからには,部屋でじっとしていられるはずはなく,散歩がてらテクテク出かけたファーマーズマーケット.新鮮な野菜やフルーツはもちろん,ちょっとした総菜などをチョコチョコ食いできるので,サンフランシスコでの朝の散歩の寄り道にはもってこいでありました.」

  こういう生活の一コマをちゃんと切り出して書ける著者はすごい(解説で角田光代が,それは「作者が自分の『好き』を知り抜いているからだと思う」と書いている).で,またこういう本を読んできた友人は羨ましいなと思った.

くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集 (集英社文庫)

くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集 (集英社文庫)