How to Become an Amateur

大人の趣味とそれを支える環境について

研究対象の選び方

 研究対象の選択について「表向きは研究上もっともな理由づけしているけれど本当は個人的な思い入れがあるんでしょ」と聞かれることがあるけれど,特に思い入れはない.基本的に自分が愛着をもつのは「対象」ではなく「ものの見方」なので,ある概念や問題を検討するうえで最も実りがありそうな対象を選びたい.修論でアマチュア・オーケストラを対象にしたけれど,自分はアマオケ経験者ではないし,クラシック音楽をよく聞くわけでもない.でも,大人の趣味における興味の深まりと環境による支えを考えるうえで,アマオケはとても魅力的な対象だと思った.それならば,アマオケを研究する良さを引き出すためにも,オーケストラやクラシックの予備的な勉強をすることは当然のことだ.クラシック音楽になじみがなくたって勉強すればある程度はなじむようになるものだし,全くもって勉強不可能なものだったらそもそも趣味として普及していないだろう.対象に個人的な思い入れがないことと,対象の魅力を感じないことは別問題である.

 だから,逆に「なんでフラメンコの研究をしないの」と聞かれても,理由を答えようがない.たしかに,自分がサークルでフラメンコを踊っている経験があったからこそ,大人の趣味を研究しようと思ったのは間違いない.だけれど,それは「フラメンコを通して,趣味や趣味を支える環境(というものの見方)に対して興味を抱いた」のであって,フラメンコを研究したいわけではない.

 こういう志向があるので,自分が何者であるのかカテゴライズするのには若干苦労する.「アートの人です」とか「スポーツの人です」みたいに具体的なジャンルでカテゴライズできないので,いかんせん「趣味」とか「インフォーマル学習」という抽象的な言葉になりがちになる.そういうカテゴライズでやっていくにためにも,「対象」ありきではない「ものの見方」の面白さを伝える,ということのレッスンを意識的にやっていきたい.